歯周病で骨が減った方へ:PDGF再生療法

歯周病で骨が減った方へ:PDGF再生療法

「歯周病で骨が減っています」と言われ、抜歯になるのではと不安になっていませんか。歯が少し揺れる、歯ぐきが下がった、噛むと違和感がある――そんな時に検討される治療の一つがPDGF再生療法です。当院では、まず歯を残せる可能性と限界を丁寧に確認し、無理のない治療計画をご提案します。

目次

結論:PDGF再生療法は「減った骨を育てる環境」を整える治療です

歯周病で骨が減った場合、結論から言うと、PDGF再生療法はすべての骨を元通りにする治療ではありません。条件が合う部分に対して、歯を支える組織が回復しやすい環境をつくる治療です。

PDGFとは「血小板由来成長因子」と呼ばれるたんぱく質の一種で、体が傷を治す時に細胞へ働きかける合図のような役割を持ちます。歯周病治療では、歯の根の周りにできた骨の欠損部へ材料を入れ、歯ぐき・骨・歯根膜が再生しやすい状態を目指します。

たとえば、歯の周囲に深さ6mm以上の歯周ポケットがあり、レントゲンやCTで縦方向に骨がえぐれたような欠損が見られる場合は、再生療法を検討できることがあります。一方で、歯の周り全体の骨が平らに大きく減っている場合や、歯の揺れが強い場合は、効果が限られることがあります。

当院が大切にしているのは、「残せる可能性がある歯」と「無理に残すことで痛みや噛みにくさが続く歯」を分けて考えることです。噛める喜びを長く保つために、再生療法だけでなく、歯周基本治療、噛み合わせの調整、必要に応じた補綴治療まで含めて判断します。

適応の目安:5〜6mm以上のポケット、縦型の骨欠損を確認します

PDGF再生療法を行うかどうかは、見た目だけでは決められません。大川歯科医院では、主に3つの情報を組み合わせて判断します。

1つ目は歯周ポケットの深さです。健康な歯ぐきでは1〜3mm程度が目安ですが、5〜6mm以上になると歯ブラシが届きにくく、細菌が残りやすくなります。2つ目はレントゲンや必要に応じたCTによる骨の形の確認です。再生療法は、骨が「すり鉢状」「縦に深く」失われている部分で検討しやすい傾向があります。3つ目は歯の揺れや噛む力です。噛むたびに歯が大きく動く状態では、再生を待つ環境が安定しにくくなります。

また、全身の状態も重要です。糖尿病の血糖コントロールが不安定な方、喫煙本数が多い方、歯ぎしり・食いしばりが強い方は、治りに影響することがあります。治療をあきらめるという意味ではなく、先に生活習慣や噛み合わせを整えることで、より安全に進められる場合があります。

PDGFを用いる再生療法は、使用する材料や制度上の扱いにより自由診療となることがあります。一方で、歯周基本治療や検査など保険診療で行える範囲もあります。実際の適用や費用はお口の状態、使用材料、治療範囲によって異なるため、診査後に書面などでわかりやすくご説明します。

治療の流れ:初期治療から手術、経過観察まで数か月単位で進めます

再生療法は、手術だけで完結する治療ではありません。土を耕さずに種をまいても育ちにくいように、まず歯ぐきの炎症を減らす準備が大切です。

最初に行うのは歯周基本治療です。歯石取り、歯みがきの確認、必要に応じた深い部分のクリーニングを行います。期間はお口の状態によりますが、数回から1〜2か月程度かけて炎症の改善を見ます。その後、再検査を行い、ポケットの深さや出血の有無を確認します。

再生療法を行う場合は、局所麻酔をして歯ぐきを小さく開き、歯の根にこびりついた歯石や感染した組織を取り除きます。骨の欠損部をきれいにしたうえで、PDGFを含む再生材料などを適切に配置し、歯ぐきを縫合します。処置時間は範囲によりますが、1本から数本で60〜90分程度が一つの目安です。

術後は、当日から数日は強いうがいを避け、処方された薬がある場合は指示通りに使用します。1〜2週間ほどで抜糸を行い、その後は月1回前後の確認から始めることが多いです。骨や歯周組織の変化はすぐには見えないため、3か月、6か月、場合によっては1年単位で安定を確認します。

リスクと限界:腫れ・痛み・再発の可能性を理解して選びます

PDGF再生療法には期待できる面がある一方で、リスクや限界もあります。術後には腫れ、痛み、出血、内出血、違和感、歯ぐきが下がる感じ、知覚過敏が出ることがあります。多くは一時的ですが、症状の程度には個人差があります。

また、再生療法を行っても十分な骨の回復が得られない場合があります。特に、歯周病の炎症が強く残っている、清掃が難しい、喫煙が続いている、歯ぎしりが強い、通院間隔が大きく空くといった場合は、治療結果に影響することがあります。感染が起きた場合には、追加の処置や材料の除去が必要になることもあります。

大切なのは、再生療法を「歯周病が治ったから終わり」と考えないことです。歯周病は生活習慣病に近い側面があり、毎日の歯みがきと定期的なメンテナンスで再発を抑える必要があります。目安として、治療後は1〜3か月ごとのメンテナンスをおすすめすることがあります。状態が安定すれば間隔を調整します。

当院では、メリットだけでなく、起こりうる不具合や別の治療選択肢もお伝えします。抜歯、ブリッジ、入れ歯、インプラントなどが適しているケースもあり、患者さんの年齢、持病、通院回数、費用面のご希望も含めて一緒に考えます。

受診前にできること:検査結果と生活習慣を一緒に確認しましょう

「骨が減った」と言われた方が受診前にできることは、まず今までの検査結果を持参することです。レントゲン写真、歯周ポケットの検査表、お薬手帳、持病の情報があると、判断がスムーズになります。糖尿病で通院中の方は、最近のHbA1cの数値がわかる資料も参考になります。

ご自宅では、強く磨きすぎるよりも、歯と歯ぐきの境目に毛先を当てて小刻みに動かすことを意識してください。歯間ブラシやフロスはサイズが合わないと歯ぐきを傷つけることがあるため、当院で確認しながら選ぶと安心です。

歯周病で骨が減っていても、すぐに抜歯と決まるわけではありません。反対に、どの歯にも再生療法が向くわけでもありません。大川歯科医院では、現在の状態を数値と画像で一緒に見ながら、残す治療・守る治療・補う治療を誠実にご説明します。不安なことがあれば、診察時に遠慮なくお話しください。

よくあるご質問

Q. PDGF再生療法をすれば、減った骨は元に戻りますか?
A. すべての骨が元通りになる治療ではありません。縦型の骨欠損など条件が合う部分で、歯周組織が回復しやすい環境を整える治療です。検査で適応を確認します。

Q. 治療中や治療後の痛みはありますか?
A. 処置は局所麻酔をして行います。術後に腫れ、痛み、出血、違和感が出ることがありますが、状態に応じてお薬や注意点をご説明します。症状には個人差があります。

Q. PDGF再生療法は保険で受けられますか?
A. PDGFを用いる再生療法は、使用材料や制度上の扱いにより自由診療となることがあります。保険で行える検査や歯周基本治療もあるため、診査後に範囲を説明します。

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