咬み合わせの大切さ
歯や顎は人にとって咀嚼や発声を行うという重要な役割を持っています。咬み合わせが悪いとこれらの機能がうまく働かず、不具合を覚える方がいらっしゃいます。このような方は咬み合わせの問題を自覚しやすいでしょう。しかし咀嚼や発声に不都合を感じない方でも歯や顎の状態によっては身体に何らかの影響を及ぼしているケースがあります。
咬み合わせの状態は見た目で判断するのは難しく、ご本人で「歯並びが悪い」と自覚されている方でも大した症状ではなく少しの治療で終わる場合もございます。反対に歯並びが綺麗な方でも、診断をすると咬み合わせが悪く身体に不調和を起こしているといったことも珍しくありません。
咬み合わせは、見た目ではなく歯がバランスよく正しく咬み合わさっている状態で、咀嚼や発音といった機能を果たしている必要があります。そして、そのことより全身の健康が維持できるのです。
咬み合わせの自己診断
咬み合わせは色々なパターンがあるので自覚しにくい症状も多いのですが、自分で診断しやすい症状が以下のものです。
- 口を開けると顎の関節が痛んだり鳴ったりする
- 咬む時に顎の関節に痛みを感じる
- 顎を左右に動かす時にずれを感じる
- ほとんど口が開かない
- 奥歯で咬むと前歯が空く
咬み合わせがずれる原因
顎の発育不良
咬む回数が減ったことなどにより顎が十分に発達しないと、歯とのバランスが取れずに咬み合わせが悪くなることがあります。
親知らずの影響
親知らずが横や斜めに生え、他の歯に力がかかり歯並びが乱れることがあります。
歯の欠損
歯の抜歯後に入れ歯やブリッジの補綴物を入れずに放置しておくと、咬み合う天然の歯が長く伸びたり、隣の歯が倒れてきたりします。
歯科治療の不適合
虫歯や抜歯後の治療の際に正しい咬み合わせが実現出来ていない時や、矯正治療の予後不良も原因となります。
普段の悪い姿勢や歯ぎしりなどの癖
うつ伏せで寝る、足や手を組むなどの悪い姿勢や歯ぎしり、片側だけで咬むなどの癖が影響することもあります。
咬み合わせと身体の関係
顎の位置や咬み合わせの状態は、顎の周りの筋肉の緊張に深く関わっています。そのため咬み合わせはお口の周りの状態ではなく、顎周りの筋肉が繋がっている首や頭に影響します。さらに頸椎を通る多くの重要な神経が圧迫されると、内臓や心の健康にも支障が出てきます。
虫歯・歯周病
歯並びが悪いと、歯磨きが難しくなるため虫歯や歯周病の原因となります。また、口を閉じるのが難しく口呼吸をする方も多いですが、これも虫歯や歯周病になりやすい状態です。
胃腸への負担
歯並びや咬み合わせが悪いと、物を咬む効率も悪くなります。うまく咀嚼できないと、胃腸などの他の消化器官の負担となります。
肩こり・首の痛み・頭痛
咬み合わせが悪いと、顎の周りの筋肉が緊張します。緊張が続くと、その筋肉が硬くなり血行が悪くなって肩こりや首の痛み、頭痛の原因となります。
耳鳴り・難聴
顎の位置のずれや、歯の喪失、すり減りによる脊椎の湾曲から神経伝達障害や耳の管の圧迫が生じ耳鳴り・難聴になります。
腰痛・膝痛・生理痛
悪い咬み合わせのために脊椎に歪みが出ると、筋肉のバランスが崩れ腰痛が起きます。また、自律神経系に圧迫を与える事によって、生理痛、生理不順、不妊など婦人科系の病気を引き起こすことがあります。
うつ病・自律神経失調症
咬合のストレスや頭痛や歯痛による緊張、また頸椎の歪みによる自律神経への影響などによりうつ状態や自律神経失調症などの原因ともなります。
インプラント、矯正、セラミック治療における咬み合わせ
どのような歯科の治療でも、咬み合わせの調整はとても大切です。咬み合わせを無視して治療をした場合、歯並びが崩れる、周りの歯や補綴物が原因ですり減ったり割れたりする、悪い咬み合わせのため心身の不調が起きる、という状況になり再度治療が必要になることもあります。
虫歯の治療で歯を数ミリ削るだけでも、咬み合わせが変わってくるととてもデリケートなものですので、インプラント・矯正・セラミックの治療では基本的に「咬み合わせを整える」治療である必要があります。
インプラント治療の咬み合わせ
インプラント治療は、どのように人工歯根であるインプラントを埋め込み、どのように被せ物を入れてお口全体の咬み合わせを調整するかが重要です。咬み合わせがきちんと調整されないと、せっかくのインプラントのメリットである天然の歯のような咬み心地を得ることはできません。そしてもし咬み合わせが整っていないと、周りの歯に負担をかけ健康な歯を失う原因にもなります。
インプラントは1本でもお口全体の咬み合わせに影響します。しっかりと咬むことができるようになると、他の治療では実現し難い咬み合わせのバランス、顎のバランスが取れるようになります。そうすると、咀嚼機能が回復して口元の筋肉が整い自然で健康的な口元になります。
矯正治療と咬み合わせ
矯正治療は歯並びを整える治療のため、咬み合わせも調整されていると思われることもありますが、必ずしもそういうわけではありません。歯並びは一見良くなっても、首が痛い、肩が凝るという症状が出ることがあります。また、部分的な矯正治療をしても全体の咬み合わせに問題がある場合は、数年後に元に戻ったり、もっと悪い状態になったりすることもあります。
矯正治療をする際にきちんと咬み合わせを調整すると、食いしばりなどの癖もなくなり肩こりや首の痛みの改善に繋がることも多くあります。また、顎の位置が正しく調整されることでかをの輪郭も改善されることがあります。
セラミック治療と咬み合わせ
セラミックは白い生体親和性のある硬い素材で、付け爪のように歯に張り付けたり、被せ物にしたりして歯並びを調整することができます。この時も咬み合わせを調整しないと、しっかりと咬むことができないことがあります。他の歯との咬み合わせが十分でないと、咬み合う天然の歯を痛めることもあります。
しっかりと咬み合わせの調整ができていれば、短時間に自然で美しい見た目に整えることができます。
咬み合わせについてのYOUTUBE動画
咬み合わせの不具合によるお口の中の悪影響について説明しています。
咬み合わせと聞いて、どんなことを思い浮かべますか? 歯ぎしりや食いしばりなどは聞き覚えがあるかもしれません。
しかし、歯が摩耗するだけでなく折れてしまうリスクはご存じでしょうか?
この動画では、主に咬み合わせの潜在的なリスクについて実際に起きた現象に基づき説明しております。 従来の治療法では症状が良くならない、治したところがまた悪くなる、実は咬み合わせのバランスが大きく関係しているかもしれません。
もし今、咬み合わせの不具合を感じてらっしゃるのであれば ぜひご覧いただければと思います。