
詰め物・被せ物が取れた時の対処法と受診目安|大川歯科医院 太田市

食事中に「ガリッ」と硬いものを噛んだと思ったら、銀歯や白い詰め物が外れていた——そんな時は、驚いて不安になりますよね。痛みがなくても、外れた部分の歯はむし歯や欠けのリスクが高くなります。まずは外れた物を捨てずに保管し、できるだけ早めに歯科へ相談しましょう。当院が、受診までの過ごし方と判断の目安を分かりやすくお伝えします。
▶ 「難しい」と言われた歯にも、確かめる道があります——ミニガイド『「難しい」と言われた歯の、選択肢の地図』(無料)を配布しています。記事の最後でご案内します。
結論:取れた詰め物・被せ物は保管し、早めに受診を
詰め物・被せ物が取れた時は、痛みがなくても「そのまま様子を見る」のはおすすめできません。外れた部分は象牙質という内側の歯が露出していることがあり、しみる、欠ける、むし歯が進む原因になります。
まず行うことは3つです。1つ目は、外れた詰め物・被せ物をティッシュではなく小さな袋やケースに入れて保管すること。ティッシュに包むと、うっかり捨ててしまうことがあります。2つ目は、外れた側で硬い物を噛まないこと。せんべい、ナッツ、フランスパン、氷などは歯が欠けるきっかけになります。3つ目は、歯科医院へ連絡し、受診時期を相談することです。
目安として、痛み・腫れ・ズキズキ感・噛むと強く痛い症状がある場合は、できるだけ早めの受診が望まれます。痛みがない場合でも、数日から1週間程度を目安に相談してください。特に前歯の見た目が気になる、奥歯で食事がしにくい、取れた歯の角が舌に当たる場合は、生活への支障も含めて早めにご連絡ください。
自分で接着しない:受診までの応急対応
市販の接着剤や瞬間接着剤で戻すことは避けてください。歯科用ではない接着剤はお口の中で使う前提ではなく、歯や歯ぐきに悪影響を及ぼす可能性があります。また、ずれた位置で固まると噛み合わせが高くなり、歯の痛みや顎の違和感につながることがあります。
受診までの手順は、まず外れた場所をやさしく確認します。鏡で見て、黒い部分、穴、尖った欠けがないかを見ます。次に、歯ブラシで強くこすりすぎず、食べかすを落とします。しみる場合は、冷たい飲み物や甘い物を避け、ぬるめの水でうがいをしてください。歯間ブラシやフロスを使う場合は、引っかかる場所を無理に通さないようにします。
食事は、反対側で噛み、やわらかい物を選ぶと安心です。例えば、うどん、卵料理、煮魚、やわらかく煮た野菜などです。キャラメル、餅、ガムのように粘着性のある食べ物は、残っている歯や仮の部分に負担がかかるため控えましょう。
もし外れた物を飲み込んでしまった場合、多くは便と一緒に排出されますが、むせ込みが強い、咳が止まらない、息苦しいなどの症状がある時は、誤って気道に入った可能性も考えられます。その場合は歯科だけでなく、医科への相談も必要です。
取れた原因はむし歯だけではない:検査で分かること
詰め物・被せ物が取れる原因は、接着材の劣化だけではありません。中でむし歯が進んでいた、歯が欠けた、噛み合わせの力が強い、歯ぎしり・食いしばりがある、土台の歯が割れているなど、いくつかの可能性があります。原因によって、戻せるか、作り直しが必要か、根の治療が必要かが変わります。
歯科では、まず外れた物と歯の形が合うかを確認します。ぴったり合い、むし歯や破折が少ない場合は、再装着を検討できることがあります。ただし、見た目には問題がなくても、内側にむし歯があるとそのまま戻すことはできません。
レントゲン撮影では、むし歯の広がり、神経に近いか、根の先に炎症がないか、歯の割れが疑われる影がないかを確認します。必要に応じて、しみる反応や噛んだ時の痛みを調べ、噛み合わせの紙で強く当たる場所も見ます。これにより「接着だけでよいのか」「むし歯を取って詰め直すのか」「被せ物を作り直すのか」といった判断材料がそろいます。
相談時に伝えていただきたいことは、取れた日時、痛みの有無、冷たい物がしみるか、噛むと痛いか、外れた物を持っているか、現在服用中の薬や治療中の病気です。妊娠中、授乳中、骨粗しょう症の薬を使っている場合なども、診療計画に関わることがあるためお知らせください。
治療は「戻す・詰め直す・作り直す」を状態で判断
治療方針は、歯の残り方と原因によって変わります。外れた詰め物・被せ物がそのまま使える場合は、清掃と確認を行ったうえで再装着を検討します。これは比較的短時間で済むことがありますが、接着面の劣化やむし歯があれば再装着は適しません。
むし歯がある場合は、むし歯を取り除き、削った範囲に合わせて詰め物や被せ物を作り直します。小さな範囲であれば白い樹脂で修復できることもありますが、奥歯で力が強くかかる場所や欠けが大きい場合は、型取りをして詰め物・被せ物を作ることがあります。通院回数は状態により異なりますが、型取りが必要な場合は複数回になることが一般的です。
神経に近いむし歯や強い痛みがある場合は、神経の治療を検討することがあります。歯の根が割れている、土台が大きく壊れている場合は、保存が難しいこともあります。その際も、すぐに一つの方法へ決めるのではなく、検査結果をもとに選択肢と限界を確認することが大切です。
材料には、保険診療で選べるものと、自由診療で選べるものがあります。保険診療は国のルールに基づき、使える材料や部位に条件があります。自由診療はセラミックなど見た目や性質の選択肢が広がる場合がありますが、費用は全額自己負担で、金額は目安として医院や内容により異なります。どの材料にも、欠ける、外れる、しみる、再治療が必要になるなどのリスクや限界があります。
再発予防は噛み合わせと毎日の清掃がポイント
再び取れるのを防ぐには、治療後の噛み合わせ確認と日々の清掃が大切です。詰め物・被せ物は、歯との境目に汚れが残るとむし歯が再発しやすくなります。特に奥歯の溝、歯と歯の間、歯ぐきのきわは、歯ブラシだけでは汚れが残ることがあります。
ご自宅では、歯ブラシを小さく動かし、境目をなぞるように磨きます。歯と歯の間は、フロスや歯間ブラシを使うと清掃しやすくなります。ただし、サイズが合わない歯間ブラシを無理に通すと歯ぐきを傷つけることがあるため、使い方は歯科で確認すると安心です。
歯ぎしりや食いしばりが疑われる場合は、朝起きた時に顎が疲れる、歯が浮いた感じがする、詰め物が何度も外れる、といったサインがあります。必要に応じてマウスピースを検討することもありますが、適応は診断が前提です。定期的なチェックでは、むし歯だけでなく、噛み合わせの変化や材料のすり減りも確認できます。
詰め物・被せ物が取れた時は、慌てず、保管し、無理に戻さず、早めに相談することが歯を守る第一歩です。当院では、患者さんが状況を理解して治療を選べるよう、検査結果をもとに分かりやすい説明を心がけています。
院長より
詰めたものが取れた時は、「その時に虫歯になった」というより、雨漏りしている屋根のように、ずいぶん前から汚染が始まっていたと考えることがあります。
一方で、取れてくれることの恩恵もあります。それは、抜歯という最悪な状況になる前に、治療の機会を与えてくれているからです。
関連動画
よくあるご質問
Q. 取れた詰め物をそのまま戻してもいいですか?
A. ご自身で戻したり接着したりしないでください。ずれて入ると噛み合わせが高くなり、痛みや歯の破折につながることがあります。外れた物は袋やケースに入れて受診時にお持ちください。
Q. 痛みがなければ受診しなくても大丈夫ですか?
A. 痛みがなくても、歯の内側が露出してむし歯や欠けが進むことがあります。数日から1週間程度を目安に相談し、痛み・腫れ・噛むと強い痛みがある場合は早めの受診をおすすめします。
Q. 外れた被せ物は再利用できますか?
A. 歯や被せ物の状態が良く、むし歯や欠けが少なければ再装着を検討できることがあります。ただし、内側のむし歯や土台の破損がある場合は作り直しが必要になることがあります。
監修: 大川 孝平
RESTLUXE DENTARIA 太田駅前再生医科歯科クリニック代表 / 医療法人晴和会 理事長
東京歯科大学卒。IDIA アメリカインプラント学会 認定医・専門医・指導医。日本再生医療学会 正会員。日本口腔再生治療協会 理事。
(最終監修日: 2026年10月25日)
【無料配布】ミニガイド『「難しい」と言われた歯の、選択肢の地図』
「抜くしかない」「骨が足りない」と言われたときの選択肢を、順番に並べた小さな地図です。
ご登録いただくと、ミニガイド(PDF)と全6回のメール解説シリーズをお送りします。




