歯周病の怖さ、皆さんご存知ですか?

歯周病、もしくは歯槽膿漏(しそうのうろう)と聞くと
誰もがその病気を知っている。
もはや、国民病といっても過言ではないくらい有名ですよね。

でも、そんな有名で誰もが知っている病気について
皆さんはどのくらいご存知でしょうか?

知ってるけど、よくわからない。
実際に歯周病の治療をしているけど、なかなか良くならない。
どうやって予防すればいいの?

このような悩みをお持ちの方は、是非読んでみてください。

【目次】

1.歯周病とは?

2.歯周病の原因

3.歯周病になりやすい人

4.歯周病の治療方法

5.歯周病から歯を守る方法



1.歯周病とは?

歯周病は、歯肉や歯を支える骨が炎症を起こし、徐々に破壊される疾患です。

歯周病は、歯の喪失や口臭などの問題を引き起こす可能性があります。世界保健機関によると、歯周病は世界中で最も一般的な疾患の1つであり、成人の約50%が影響を受けています。

歯周病とは、専門的には「歯周炎」といいます。
りの組織が症をおこしている状態です。

歯の組織には、歯と歯肉(歯茎)
そして、歯と骨をつなぐ歯根膜という繊維。
歯の周囲にある歯槽骨といわれる骨が存在します。

歯周病は、歯以外の周りの組織が壊されてしまう病気です。

そして、組織が感染して壊れていく状態を炎症といいます。

状態によって、以下のように分類されます。

歯肉(歯茎)のみで炎症がとどまっている状態→歯肉炎
歯肉のみならず、歯根膜という繊維や骨まで炎症が広がっている→歯周炎

いわゆる、歯周炎(歯槽膿漏)とは歯の周りのまで炎症が広がっている状態を指します。

また、症状の違いでも分類されています。

痛みを感じる状態→急性

痛みを感じない状態→慢性

歯周病は、サイレントキラーと呼ばれる慢性疾患であるというのはご存じでしょうか?

歯周ポケットとは、歯の周りにある組織で構成された場所のことです。

2.歯周病の原因

歯周病の原因は、「細菌」です。
これ以外にはありません。

歯周病は、細菌の蓄積が原因で発生することが多く、口内の細菌が歯垢と呼ばれる膜を形成して歯肉縁に沿って蓄積することで、歯肉が炎症を起こします。

歯肉炎は歯周病の初期段階であり、歯肉が腫れたり、赤くなったり、出血することがあります。

歯周病が進行すると、歯肉から離れた歯垢が歯肉ポケットと呼ばれる空洞を作り、細菌が蓄積する場所となります。歯周病が進行すると、歯を支える骨が破壊され、歯が抜ける可能性があります。

歯周病は、歯周病原細菌(歯周病の原因である細菌のこと)による細菌感染症なのです。

つまり、細菌がなければ感染しません。歯がなければ感染しません。
そして宿主となる人間が生きていなければ感染しません(当たり前ですが)

ですが、この細菌たちは残念ながらお口の中から抹消することはできません。生まれて間もない赤ちゃんのときから、長く住み着いている細菌は増殖を繰り返し今も存在し続けています。

また、ほかの人の口の中に住んでいる細菌も、しれっとお口の中に入ってきたりします。

例えば、「そのお茶、一口ちょうだい?」みたいなことがあったりしますよね?そのときに、細菌たちの移住がおきています。

3.歯周病の症状

歯周病の初期症状は、多くの場合、軽度であるため、気付かないことがあります。しかし、以下のような症状が現れた場合は、歯周病の可能性があります。

  • 歯肉が腫れたり、赤くなったり、出血することがある
  • 歯が長くなったように感じる
  • 歯が揺れる
  • 口臭がある

また、症状の違いでも分類されています。

痛みを感じる状態→急性

痛みを感じない状態→慢性

歯周病は、サイレントキラーと呼ばれる慢性疾患であるというのはご存じでしょうか?

歯周ポケットとは、歯の周りにある組織で構成された場所のことで、歯周病の炎症度合いを測定する場所でもあります。

ここの状態が、自覚症状なしに破壊が進んでいく。知らぬ間に進行してしまう状態がサイレントキラーと言われる所以です。

4.歯周病になりやすい人

それでは、一体どんな人が歯周病になりやすいのでしょうか?
一般的には

  • 妊娠してる人
  • 太っている人
  • 喫煙している人
  • 高血圧の人
  • 免疫力が下がっている人
  • 高齢の人

というふうに言われています。(厳密には他にもありますが、ここではわかりやすく説明するため省きます)
上記が複合的に当てはまる方もいらっしゃると思います。

しかし、私が考える歯周病になりやすい人は少し異なります。

妊娠している人は、妊娠性のホルモンの影響が大きいです。
免疫低下している方は、基礎疾患の影響が大きいです。
高齢の方も、基礎疾患や加齢による免疫力の低下の影響が大きいです。

太っている人や高血圧の方、喫煙している人は、結果的に歯周病になってしまう方達です。

結果的にという理由は、歯周病が「細菌感染」によっておこる病気だから。

つまり、その歯周病の細菌がとても増えていて細菌の量がとても多いのです。
それと相まって免疫力が低下しやすい状況ですと、感染の進行が早くなります。

では、細菌(歯周病原性細菌)の量はなぜ増えるのでしょうか?

それは、細菌が増えやすい環境だからです(そりゃそうでしょ!という声が上がりそうですね)もう少し詳しく説明すると、細菌が増殖するにはエネルギーが必要です。

つまり、「細菌の餌」が必要です。

細菌の餌とは何かというと、虫歯の菌の場合は糖質です。⇦虫歯の話で詳しく説明します。

歯周病原細菌の場合は、血液中に含まれる鉄分だと言われています。
 出血している場所がお口の中にあると、そこは細菌の「エサ場」になってしまいます。

ですから、

歯ブラシしていると血が出ている→歯周病です。
ではなく、歯ブラシしていると血が出ている→細菌が増殖しています。(もっと悪化します)

ということです。

細菌が増殖しやすい環境であるかどうかが、歯周病に大きく関係しています。
上記に列挙した、歯周病になりやすい人というのは様々な要因(免疫細胞の活性状態やホルモンなど)で細菌が増えやすい環境であると言えます。

5.歯周病の治療方法

ここでは、歯周病の治療方法についてご紹介いたします。


口腔清掃指導(Tooth Brushing Instruction)

口腔清掃指導とは、いわゆる歯ブラシ指導ってやつです。
歯医者さんにいくと、汚れのついている箇所をチェックして歯ブラシの当て方や時間についてなどのお話です。

当院でも行いますが、なかなか理解するのは難しいと思います。

プロがやっても、細かい所の汚れを落とすのには難儀します。
それに診療室のイスにお座りいただいている患者様は、リラックスできる環境ではないので聞いても記憶に残りにくいです。

ですので、当院では初診時にお口の中から採取した細菌の顕微鏡動画をご覧いただいてます。初めてみる方には結構ショッキングな映像です。
(ウニウニ動いてます)

その後、歯周病のリスクや予後をしっかり説明させていただくと歯ブラシ指導もちゃんと理解していただけております。(と願っております)

口腔清掃指導についてブログでもお話ししてます。

スケーリング

スケーリングとは、歯に付着した「歯石」を取り除きます。
歯についた歯石をそのままにしておくと、そこの部分に細菌が多い状態を
継続させてしまいます。

しかし、細菌達の手によって作られた歯石は歯ブラシ程度では取れません。
例えるなら、船底についてるフジツボのような状態ですかね(笑)

超音波の振動で、砕いて取るイメージです。

SRP(スケーリング・ルートプレーニング)

先程のスケーリングというのは、歯の表面についている歯石を
主に取り除きます。

こちらのSRPというのは、歯周病がだいぶ進行した状態ですと歯茎の深いところに歯石がついてしまいます。
ですから、より深いところの歯石を取り根の表面にまで及んだ歯石を取るだけでなく、根の表面を滑沢にすることで歯石の再付着を予防します。

それは、なかなか目視できない場所であり炎症が強いところでもあります。
ですから、ほとんどの場合麻酔が必要になります。
また術後の歯茎の治り方によって一時的に冷たいものが染みることがあります。

FOP(歯肉弁剥離掻爬術)

この術式は、いわゆる小さな手術です。

先程のSRPでは治らない症例もあります。
目視できない位置についている歯石は
血液由来の成分でできておりタチの悪い強い細菌が多いからです。 

ですので、その最深部の歯石を取らないとなかなか治らない。
悪い地下組織を壊滅させないといけない的なイメージですね。

麻酔をして、歯茎を切開し広げて、歯と骨の状態にします。
そこで、深いところに付着している歯石や炎症によってできた感染組織を
直接取り除きます。
その後、歯茎を元に戻して傷口をふさぎます。

小手術ですから、当然痛みや腫れも起こります。
ですが、鎮痛薬を服用していただければ問題ない程度です。

歯周再生医療

歯周再生医療とは、歯周病の治療においてとても有効とされています。

歯周病によって破壊されてしまった組織は自然には治りません。
従来の治療法では、破壊された感染組織と感染源を取り除くことが目的であり
その後の治癒状況などは、体の自然治癒機能に委ねるしかないのです。

しかし、御自身の自然治癒力には限界があり骨の吸収形態によっては元の歯茎に形に戻ることはできません。

歯周再生治療では、再生に必要な材料を使用することで細菌に破壊されてしまった組織を復活させることが可能です。

例:歯の周りの組織が破壊されている→歯周組織再生療法(GTR法)
  歯の周りの骨が破壊されている →歯槽骨再生療法(GBR法)
                  高濃度血小板療法(PRGF療法)

厚生労働省認可番号 PC3200189

PRGF-Endret療法

体の中には、自身の体を治すためのシステムが構築されています。
私たちの歯科医療は、その自然治癒力の手助けをしているに過ぎないのです。

再生医療はご自身の自然治癒力のメカニズムを応用し、より元の形になるべく近い形の治癒を目指して行う治療です。(注:症例によりますが、完全に再生する治療ではありません。)

当院の再生医療についてはこちらに詳しく記載してます。
↓↓↓↓↓↓
厚生労働省高度再生医療認定機関 PRGF-Enders療法

レーザー治療

一般的な歯周病の治療では、少なからず体への侵襲は避けられません。
ですが、レーザーの特性を応用した歯周病の治療では非常に低侵襲で行うことが可能です。

レーザーとは、波長とそれを生み出す触媒によって分類されます。
Er-Yag Lazer、CO2 Lazer、Water Lazer、Diode  Lazer等、さまざまな種類が存在します。

当院でもレーザーは3種類あり、症例によって使い分けています。
その中でも今回ご紹介するのは「光機能療法」と言われる歯周病治療に特化した
レーザー治療です。

どんな治療かと言いますと(噛み砕いて説明します)

①治療部位に特殊な液体(エサ)を注入する 注:詳細は省きます
②深いところにいる極悪歯周病菌がエサを食べる
③お腹いっぱいにさせたところで(数分)、エサが反応を起こすレーザー(光)を当てる
④極悪歯周病菌の体の中のエサが反応して、菌が死ぬ
⑤免疫システムのお掃除隊が、あとは綺麗に始末する
⑥炎症がなくなり、治癒する。

このようにして、歯周病原菌に対し直接アプローチができる方法です。
細菌のみ反応するので、体への侵襲は非常に少ないですね。

そのほか、各種レーザーの効果で炎症を抑えたり、消毒したり、自然治癒力を向上させるなんていう治療もあります。

6.歯周病から歯を守る方法

最後にお話しするのは、歯周病から自分の身を守るのはどうすれば良いのでしょうか?

歯周病を予防するためには、以下のことが重要です。

  • 歯磨き: 歯磨きは、歯周病の原因である歯垢を除去するために非常に重要です。歯周病を予防するには、毎日2回の歯磨きが必要です。また、歯間ブラシやフロスを使って歯と歯の間の歯垢を除去することも重要です。
  • 健康的な食生活: 食生活が歯周病にも影響を与えます。ビタミンCやD、カルシウムなど、健康的な食生活を心がけることが大切です。
  • 定期的な歯科検診: 歯科医師による定期的な歯科検診を受けることで、歯周病の早期発見が可能になります。歯周病の早期発見は、治療の成功率を高めることができます。

しかしながら、いつまでそれを続けるかというと死ぬまで細菌と戦い続ける必要があります。
なぜなら口腔内の細菌達はあなたが生きるためのエネルギーのおこぼれをもらいながら彼らも生存しているからです。

ですから、歯周病というのは

いかにして細菌の量を減らす、もしくは細菌の量を増やさないか
感染を起こさないように守っていくか

ということが重要になってきます。

細菌は上記でもお話しした通り、お口の中にあるものを餌にして増えます。
お口の中に日常的にどんな食べ物や飲み物が入ってくるかを考えてください。

彼ら(特に虫歯の原因菌)は、それをエサに増えていきます。
特に糖質を日常的に多く摂取されている方は、「エサ場」になっている可能性が高いです。

全ての健康は、お口の中に入るもので決まるといっても過言ではありません。
日常的に何も気にしないで摂取している物
もう一度、見直してみる必要があるかもしれません。

歯周病は、口腔内の健康に深刻な影響を与えることがあります。

毎日の歯磨きや健康的な食生活、定期的な歯科検診を行うことで、歯周病を予防することができます。歯周病の症状がある場合は、できるだけ早く歯科医師に相談し、治療を受けることが重要です。

最後まで、読んでいただいてありがとうございます。

では、また。

厚生労働省高度再生医療認定機関
医療法人 大川歯科医院
理事長 大川孝平

<strong>医療法人大川歯科医院 理事長 大川孝平</strong>
医療法人大川歯科医院 理事長 大川孝平

IDIA アメリカインプラント学会 認定医・専門医・指導医
LEI 国際レーザー学会 レーザー認定医
UCSFカリフォルニア大学 歯科用レーザー認定医
JSDA 日本アンチエイジング歯科学会 認定医
アメリカ インディアナ大学 ホワイトニング認定医
JSCAM 日本臨床抗老化(アンチエイジング)医学会
JAAS 日本アンチエイジング外科・美容再生研究会
日本スウェーデン歯科学会 口腔感染予防外来認定医
SWEDENTIST(スウェーデン歯科学会認定予防歯科医師)
CARIESPRO / PERIOPRO / SOLVPRO
蛍光観察認定歯科医師(ベルスコープ:VELscope VX®)
JDA日本歯科医学振興機構 臨床歯科麻酔管理指導医